[비즈한국] 今から約6600万年前、現在のメキシコ近郊ユカタン半島に巨大な小惑星が飛来した。直径200kmに及ぶ巨大な小惑星の衝突は地球の気候に甚大な変化をもたらし、長らく地球に君臨していた巨大爬虫類はゆっくりと姿を消した。これは地球で5番目に起きた大絶滅イベントとして記録されている。
しかし、隕石が必ずしも破壊や死の代名詞というわけではない。時にはむしろ、新たな生命の誕生や始まりを告げる信号弾となることもある。
DNA二重らせん構造の発見で有名な英国の生物学者フランシス・クリックは、第二次世界大戦が終わり世界中がUFOブームに沸いていた1973年、化学者レスリー・オーゲルと共に興味深い仮説を提示した。はるか昔、地球に飛来した小惑星や彗星の表面に付着していた物質が地球に運ばれ、それが地球生命の種になったという仮説だ。
当時まで、ほとんどの生物学者は生命の材料が地球のどこかで自然に組み合わさったものだと考えていた。しかし、クリックはその可能性を一瞬で地球の外、宇宙まで拡張した。地球の生命体も地球外生命体に由来しているかもしれないという破格の主張だった。実際、クリックがどれほど真剣にこの説を唱えたのかについては後に多くの議論がなされたが、この仮説はその後50年にわたり具体化され発展してきた。
「エイリアン」シリーズの中でも傑作とされる2012年の映画『プロメテウス』は、まさにこの仮説に基づいている。数十億年前に「エンジニア」と呼ばれる地球外種族が地球の海にやってきて、その身体の成分が溶け出し、地球の海における最初の生命体の材料になったというものだ。そのため、映画に登場する異星人の死体は、現代の人間のDNAとほぼ酷似しているものとして描かれている。
地球生命の起源が小惑星や彗星にあるならば、宇宙全域で同様のことが十分に起こり得る。小さな宇宙の岩石の欠片に付着していた生命の材料が長い時間宇宙を漂い別の惑星に伝わり、その破片が再び宇宙へ飛んで別の惑星へと伝わる。タンポポの種が風に乗って遠くの山へ飛び、そこで新しいタンポポの群落が広がるのと同じだ。宇宙全体に生命の種が広まっているというこの仮説を、汎種説「パンスペルミア(Panspermia)」と呼ぶ。
この仮説は魅力的だが、立証が難しい。方法は一つしかない。地球の物質で汚染されていない純粋な小惑星や彗星に直接飛んで行き、そこに本当に生命の材料となる物質が凍りついているかを確認することだ。
この驚くべき可能性に注目した天文学者たちは、近年、様々な探査機を小惑星へと送り出した。小惑星「リュウグウ」へ向かった探査機「はやぶさ2」は、成功裏にリュウグウへのタッチダウンを試みた。はやぶさ2はカプセルに小惑星のサンプルを採取し、そのカプセルは2020年12月、地球の大気圏を突破して故郷へと帰還した。小惑星のサンプルを直接地球まで「ロケット便」で届けたといえる。

より最近では、NASAのOSIRIS-REx(オサイリス・レックス)ミッションがあった。小惑星「ベンヌ」に接近した探査機は、同じように長いノズルで小惑星表面にタッチダウンした。短い衝突の瞬間に舞い上がった小惑星の飛散塵を採取し、サンプルが入ったカプセルは2023年9月、地球の大気圏へ無事再突入した。小惑星のサンプルを載せて地球の空に落ちた人工隕石となったわけだ。
はやぶさ2が持ち帰ったリュウグウのサンプルは多くの分析が行われ、驚くべき発見があった。リュウグウのサンプルから生きたバクテリアが発見されたのだ。しかも、日ごとにその数が増殖している様子まで確認された。映画『プロメテウス』のように「エンジニア」の正体を見つけたのだろうか? そうではない。ここには非常に悲しいが、さらに驚くべき話が隠されている。
リュウグウのサンプルを薄く切り出し、電子顕微鏡で確認してみると、何か薄くて細い微細な構造が発見された。そのスケールは50マイクロメートルほどと非常に小さい。人の髪の毛の太さが大体20から200マイクロメートル程度であるため、髪の毛は論文の写真に写る薄い構造全体を覆い隠してしまうほど、はるかに太い。
サンプルの随所で、長く細いフィラメントのような構造が見つかった。当初、天文学者たちはこれらのフィラメント構造が、単にどこからか付着した人の細い髪の毛、体毛、あるいは衣類の繊維などではないかと推測した。実験室では、実験衣の繊維や、実験器具を拭く時に使う布やパッドから様々な繊維が付着する可能性があるからだ。しかし、私たちが知るいかなる繊維組織と比較しても、構造が一致しなかった。
フィラメント構造の一つを拡大した写真を見るとより興味深い構造が見え、ところどころ糸が凹んだ箇所も発見される。これは一つの細胞が分裂する過程で、二つの細胞がまだ分離しきっていない時に繋がった状態でよく見られる形だ。
さらに驚くべき事実は、時間が経つにつれてフィラメントの数が増えているということだ。これは明らかに増殖する生命体であることを意味する。単に眼鏡拭きの布から付着した繊維ではないということだ。
リュウグウのサンプルを入れたカプセルは、2020年12月に地球の大気圏を抜けて地球に到着した。届きたてのロケット便のプレゼントをすぐに確認したいところだったが、天文学者たちは長い間じっと我慢して待った。地球の物質で汚染されることを最小限に抑えるため、数ヶ月間真空チャンバーの中に保管したのだ。長い待ち時間の末、ついに2022年11月4日、サンプルコンテナが開封された。

今回の分析で使用したサンプルを電子顕微鏡で観察し始めたのは、その一週間後の2022年11月11日だった。最初に電子顕微鏡で覗いた時、サンプルからはフィラメントが11個ほど発見された。ところが、わずか3週間後の11月30日にはフィラメントが147個に増えていた。さらに2週間が経過した2023年1月14日には、その数が36個へと大幅に減少した。これは明らかに時間が経つにつれて数が増えたり減ったりする、生きている個体群が存在することを意味する。生命であることは間違いなかった。
研究チームは、ついに微生物の形で存在する地球外生命体を発見したのではないかと胸を躍らせた。しかし、より綿密に分析した結果、がっかりするような真実が明らかになった。これは地球外生命体ではなかった。私たちの地球のバクテリアだったのだ。
地球のバクテリアは皆、似たような方式で増殖する。バクテリアが新しい環境にさらされると、環境に適応する間はゆっくりと増殖し、本格的な生長に備える。特別な細胞分裂や増殖は観察されず、その後の生長のためにタンパク質の複製を準備する。その後、本格的な「対数増殖期(Log Growth phase)」に突入し、一定時間ごとにバクテリアの数が倍々に膨れ上がる。指数関数的に個体数が急増する時期だ。しかし、バクテリアといえども無制限に増殖するわけではない。群落を維持するために必要な資源が不足すれば、最終的には増殖を止めて「定常期(stationary phase)」に入る。その後、徐々にその数が減っていく「死滅期(death phase)」へと続く。
今回、リュウグウのサンプルから確認された、バクテリアと推定されるフィラメントの数も、正確にこの方式で変化した。最初は11個しかなかった数がわずか3週間で147個に増え、再び36個に減少した。この生長パターンを通じて、研究チームは約5.1日ごとにその数が2倍に増えていると推定した。これを基準にフィラメントの増殖がいつ始まったのかを追跡した結果、最初に電子顕微鏡分析のために小惑星のサンプルを薄く切り出した時点、つまり2022年11月初旬だったことがわかった。すなわち、元から小惑星に住んでいた地球外生命体ではなく、地球の実験室に到着した直後に付着した地球のバクテリアである可能性が高い。
今回観察されたバクテリアはバチルス菌であると推定される。棒のように長い形をしている。バチルス(Bacillus)という名前自体が、ラテン語で「棒」を意味する。これらは地球全域の土や川、さらには私たちの体内にも住んでいる非常に一般的なバクテリアだ。比較的硬い細胞壁を持っているため、ほぼ真空に近い低い圧力でも死なずに生き残る。
実際、一般的な状況下でバチルス菌は120分ごとに2倍に増殖する。しかし、今回の小惑星サンプルで確認されたフィラメントは5日ごとに2倍に増えた。これは、小惑星サンプルが地球に到着した後、保管される間に多くのストレスがかかる環境にさらされたためだと見られる。バチルス菌は低圧条件下で2倍に増殖する時間が6日まで延びるのだが、今回のサンプルで確認されたフィラメントの生長周期と似ている。
もしかすると小惑星で冷たく凍りついていた地球外バクテリアが、地球の暖かい環境にさらされて冬眠から目覚めたのではないかという未練が残るかもしれないが、その可能性は極めて低い。小惑星のサンプルは地球に来てすぐに開封されたのではなく、ほぼ300日近い長い時間、実験室の暖かい環境にそのままさらされたまま保管された。したがって、もし小惑星に何らかの地球外生命体が最初からいたのであれば、すでに1年近い保管期間の間に非常に多くの数まで増殖していたはずだ。しかし、最初にサンプルを分析した時に観察されたフィラメントの数はわずか11個だった。
2023年1月に追跡分析を行い、特別なフィラメント構造が確認されなかったという点も重要だ。もし地球外バクテリアが小惑星の随所に付着している状態であれば、追加でサンプルを薄く削って確認した時に、再びバクテリアが発見されたはずだ。しかし、その後、新たな地球外生命体は見られなかった。
残念ながら私たちが期待した地球外バクテリアや「エンジニア」ではなかったが、今回の発見は私たちに重要な事実を教えてくれる。まず、地球の生命体が地球ではない小惑星のような全く異なる天体の表面でも生き残れる可能性があるということだ。たとえ繁栄できなくても、すぐに死ぬのではなく、かなりの期間増殖しながら個体数を増やせるという事実が立証された。今回のサンプルで起きた一連の出来事を、天文学者たちは「急速な植民地化(Rapid colonization)」と表現する。地球に到着した小惑星のサンプルは、わずか数週間で、地球に住んでいた土着のバクテリアによって植民地化されたのだ。
これは、今後火星をはじめとする様々な天体をテラフォーミング(地球化)する計画において、非常に重要な発見である。究極的には、火星に人間が行く前に、荒涼とした環境で生きられるバクテリアを先に送る必要がある。今回の発見は、火星のような地球外の物質の上でバクテリアが十分に生存でき、さらに増殖まで可能であることを示している。おそらくテラフォーミングが実現すれば、人間よりも先に火星に進出する真の先遣隊はバクテリアになるだろう。
今回の発見は、今後さらに多様な小惑星や彗星の探査を計画している科学者たちにも重要なメッセージを残す。科学者たちは宇宙から持ち帰った貴重なサンプルが地球の物質で汚染されないよう、厳格な汚染防止プロトコルを遵守する。それにもかかわらず、今回のサンプルは地球の物質に汚染された。これは、現在進行しているプロトコルだけでは十分ではないことを意味する。
小惑星の防疫幕に穴が開いたということは、非常に重要な問題だ。バクテリアは生化学的な反応をしながら小惑星表面のミネラルを破壊したり、新たな物質を残したりする可能性がある。小惑星の化学的特性が変形してしまうのだ。小惑星は、太陽系の外縁で50億年前の太陽系誕生時の物質をそのまま含んでいる「生きた化石」と考えられている。ところが、その貴重な宝物を地球に持ち帰った瞬間に汚染されてしまうなら、研究結果は大きく歪められてしまう。

宇宙環境を汚染させないための天文学者たちの努力は、ずっと昔から続いてきた。14年にわたる大長征を終え、2003年9月にミッションが終了した探査機「ガリレオ」の最期を巡って論争が続いた。一部からは、木星周辺を回るエウロパのような氷衛星の表面に墜落させようという主張があった。
しかし、エウロパは水と氷が存在する、高い確率で地球外生命体が存在すると期待できる場所だ。そのため、今後も生命の痕跡を探すための多くの探査が予定されている。もし地球から送った探査機がエウロパに墜落すれば、そこに付着していた地球の物質が、純粋だったエウロパの環境に変形を加えてしまう可能性がある。もし将来、本当にエウロパに行って生きたバクテリアが発見されたとしても、それが本当にエウロパで誕生した地球外生命体なのか、それとも遠い昔に先輩たちが送った探査機に付着していた地球のバクテリアが生き残ったものなのか、知る術がなくなる。意図せずして私たち人類が、エウロパに新しい生命を芽吹かせる「エンジニア」の立場になってしまうわけだ。
結局、天文学者たちは探査機ガリレオを木星の雲の中にダイビングさせるという結論を下し、無事にエウロパの環境を守り抜いた。そのおかげで、最近打ち上げられた探査機「エウロパ・クリッパー」は、特別な汚染の心配なしに、これまで純粋に保存されてきたエウロパを分析できるようになった。

最近、予算問題で多少揺れているが、NASAは2030年前に火星からサンプルを持ち帰る歴史的な「火星サンプルリターン(Mars Sample Return)」計画を準備している。すでに火星に飛んだローバー「パーサヴィアランス」は、懸命に火星のあちこちに穴を開けながらサンプルを採取している。その後、火星に到着した二機目の探査機にサンプルを移し替え、小さなミサイルのようなロケットを発射して貴重な宝物を載せ、地球に帰還させる予定だ。
これまで火星に関する研究はすべて火星でだけ行われてきた。皆の願い通りこのミッションが無事に遂行されれば、人類はついに地球の上で火星の物質を直接確認し、分析できるようになる。しかし、もし今回の小惑星サンプル分析の時のように地球の物質で汚染されたら、貴重な火星サンプルの分析結果は多くの誤りを含んでしまうだろう。火星サンプルの帰還ミッションを控えた現時点で、リュウグウのサンプルは「天文学者がより慎重に汚染防止プロトコルを再構築すべきだ」という重要な教訓を残した。
米国の小説家ジョセフ・ヘラーが第二次世界大戦当時の服務経験を基に執筆した小説『キャッチ-22』の題名「キャッチ-22」は、作品中に登場する架空の暗黙の規定だ。「精神がおかしい者は爆撃任務から除外されなければならないため、自分が狂っているという事実を軍医に伝えなければならない。しかしそうすれば、彼は正しい精神的判断を下したことになるため、狂っていないと証明されてしまい、任務から除外できなくなる」という規定だ。このため「キャッチ-22」は、堂々巡りの論理に陥る難解な状況を指す言葉となった。
小惑星のサンプルを分析する際にも、似たような状況が起きる。小惑星にどのような成分があるのかを分析するためには、地球の実験室で分析しなければならない。しかし、地球の実験室に持ち込めば地球の物質で汚染されるため、正しい分析ができない。結果が歪められる可能性があるため、小惑星を地球の実験室に持ち込むことは危険だ。ところが、サンプルの小惑星を持ち込まなければ、地球で分析ができない。
もちろん正確な比喩ではないが、表面的な現象だけを見れば、「小惑星を分析するために観察した瞬間、小惑星は本来の性質を失い、変形し、汚染された姿に変わってしまう」という点において、「観察という行為自体が宇宙の姿に影響を与える」と語った量子力学の難解な状況を連想させる。私たちは原子というミクロの世界でも、宇宙というマクロの世界でも、私たちが触れる前の純粋で本来の姿のままの世界を見ることができないようだ。
参考
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/maps.14288
https://www.darts.isas.jaxa.jp/curation/hayabusa2/
筆者チ・ウンベは? 猫と宇宙を愛している。幼い頃『銀河鉄道999』を見て、宇宙の美しさを広めるという夢を持つようになった。現在は延世大学校銀河進化研究センターおよび近宇宙論研究室で、銀河の相互作用を通じた進化を研究しており、講演や執筆など様々な科学コミュニケーション活動を行っている。『サムに乗る天文台』、『一日中宇宙を考える』、『星、光の科学』などの著書がある。