[비즈한국] ハンファが、ポーランド向け輸出用多連装ロケット「ホマール-K(HOMAR-K)」に対し、地上目標だけでなく艦船を攻撃可能な「対艦弾道ミサイル(ASBM)」を統合する案を提示した。国内初公開となるこの対艦弾道ミサイルは、中国、イラン、米国など一部の国しか保有していない兵器体系であり、これによりハンファの多連装ロケットの輸出競争力がさらに強化される見通しだ。

去る9月4日、ポーランドで開催された防衛産業展示会「MSPO 2024」において、ハンファは既に輸出済みの「天武(チョンム)」多連装ロケットのポーランド改良型である「ホマール-K」用誘導弾「CGR-80」の現地輸出契約を締結した。ハンファは計290両のホマール-K多連装ロケットを輸出し、CGR-80誘導ロケットとCTM-290弾道ミサイルを供給することとしている。これに加え、追加のロケット輸出に向けたセールスの一環として対艦弾道ミサイルを提案したものとみられる。
ハンファの提案は、ホマール-Kに新型ミサイルである「CTM-MR」と「CTM-MR ASBM」を統合する内容である。CTM-MRは直径約280mmの誘導ミサイルで、射程80kmの「CGR-80」と射程290kmの「CTM-290」の中間に位置する射程160km級のミサイルだ。天武やホマール-Kの車両1両につき、8発のCTM-MRを搭載可能である。
ハンファは、本来GPSおよび慣性航法(GPS/INS)のみで誘導され移動目標を攻撃できないCTM-MRミサイルを改良し、船舶を追跡・撃沈する能力を持たせた対艦弾道ミサイルに改造する構想を提示した。そのために、既存のCTM-MRミサイルの機首部分に赤外線(IR)シーカーを追加する。この赤外線シーカーは発射時には「シュラウド(Shroud)」と呼ばれるカバーで保護されているが、目標を捕捉すべき終末段階でシュラウドを分離し、敵艦船を追尾する。この構造は、ハンファが製造するL-SAMのABM(弾道弾迎撃ミサイル)、いわゆる「韓国版THAAD」と類似している。
赤外線センサーは艦船の機関部排気熱や船体から放射される赤外線を検知するため、敵艦船の電波妨害の影響を受けず、またミサイル自体が電波を放射しないため対艦弾道ミサイルのシーカーとして非常に適している。既にASBMを開発した一部の国々は、電波を発するレーダーや敵の放射する電波を追跡するパッシブ(対放射線)シーカーを使用しているが、これらは事前に探知されたり、デコイ(囮)に惑わされたりしやすい。
ハンファのASBMが実際に開発に至れば、ロシア、中国、イラン、米国に次ぐ世界で4番目の実用化となる。ロシアや中国などは、いわゆる「空母キラー」の異名を持つ「R-27K」弾道ミサイルや「DF-21D」などを開発し、実戦配備中である。特に中国のDF-21Dは3500km以上の射程を持ち、米国の空母にとって大きな脅威となっている。これは、中国の軍事戦略である「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」の核心兵器として扱われている。
イランは小型ミサイルをASBMに改造し、ロシアや中国より射程は短いものの実戦配備して運用中だ。最近ではフーシ派反政府勢力にASBMを供給し、ペルシャ湾を航行する商船を無差別に攻撃することで地域の安全保障を大きく脅かしている。
米国も天武のライバルである「M142 HIMARS(ハイマース)」にASBMを搭載する構想を持っている。ハイマースに搭載される次世代ミサイル「PrSM」は、初期生産分には地上攻撃能力のみ付与されているが、今後開発される改良型には、わが国の天武のCTM-MR ASBMのように艦船攻撃能力を持たせる予定だ。このほか、インドや北朝鮮もASBMの発射実験を公開しており、技術力を保有していると推定される。
ハンファの多連装ロケットがASBMの役割まで担うことになったのは非常に心強い。今後の輸出競争力向上に大きく寄与するものと予想される。射程160kmは対艦弾道ミサイルとしてはやや短いが、イランなどが狭い海域において短距離ASBMの威力を十分に証明済みだ。
特に今回ASBMの提案を受けたポーランドの立場から見れば、ハンファのCTM-MR ASBMを自国の沿岸防御システムに統合することで、ロシアの飛び地であるカリーニングラードを戦闘艦なしで封鎖することが可能となる。既に購入済みのノルウェー製対艦ミサイル「NSM(Naval Strike Missile)」と併用して飽和攻撃を仕掛けられれば、ロシア海軍の戦闘艦がこれを迎撃することは不可能である。
さらに、ポーランド以外に天武多連装ロケットを購入したサウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)も、狭いペルシャ湾でイラン海軍を牽制する任務を負っているため、今回公開されたCTM-MR ASBMに高い関心を示す可能性が高い。米国製ASBMの購入に慎重な国に対し、沿岸防御システムとして天武ロケットを販売できる可能性があると予測される。
ただし、CTM-MRミサイルはメーカー独自の開発であり、韓国軍としてはまだこのミサイルの導入が確定していないため、韓国軍もCTM-MR ASBMを用いた「多領域沿岸防御(Multi-Domain Coastal Defense)」を検討する必要があるだろう。米国をはじめとする先進国は、多領域作戦の一環として、陸軍がミサイルを用いて海上封鎖や拒否作戦を遂行する概念を既に研究中である。高価な対艦ミサイルに代わり、対地・対艦の両方が可能な天武ASBMを使用すれば、「飛弓(ピグン)」、「飛龍(ピリョン)」、そして天武ASBMで構成される「3段階沿岸防御ミサイル戦力」が完成すると予測される。
もう一つの課題は、ASBMの延伸された射程を戦力化する部分である。天武の製造メーカーであるハンファエアロスペース012450と国防科学研究所(ADD)は、数年前から中国が実戦配備したASBMの概念を模した韓国型ASBMを研究してきた。「玄武(ヒョンム)2/4/5」弾道ミサイルの弾頭部分にCTM-MRのような赤外線シーカーと終末機動翼を追加すれば、約500km先の仮想敵国の空母も攻撃可能となり、敵海軍力の抑止に大きく貢献するものと期待される。