[비즈한국] 「共(トゥ)の価値(カチ)」という言葉がある。10年ほど前、ある企業のイメージ広告に登場した言葉だ。共に過ごす力が世界を変えられるという意味を込めた素敵なコピーである。「共にする」ということは共感や疎通を意味し、この力で新しいパラダイムを築くことができる。芸術も人々の共感を得たときに初めて価値を持つ。共感は時代精神と普遍的な芸術言語から生まれる。「韓国美術応援プロジェクト」も、多様な人々の思いを分かりやすい美術言語で伝えたいと考えている。シーズン10を迎えるにあたり、孔子が言った「良い芸術は必ず分かりやすいものであるべきだ」という考えを実践しようとする作家を応援する。

2008年にノーベル文学賞を受賞したフランスの小説家ル・クレジオは、私たちにとって親しみのある作家だ。釜山国際映画祭の審査員を務めたこともあり、済州(チェジュ)世界7大自然景観の広報大使を務めるほど韓国とは縁が深い。彼が韓国の文学界で知られるようになったのは、初期作『洪水』のおかげだった。この小説は人生の矛盾をテーマにしたアンチロマン風の作品である。小説の結末部分には、作品のテーマを集約した一節が出てくる。
「私たちは生まれた瞬間から、死の門へと一歩ずつ近づいているのだ。一日一日生きることは、死んでいくことである。」
人生はすなわち死であるという仏教的な世界観が垣間見える。このように「矛盾」は芸術の魅力的なテーマである。そのため、古今東西を問わず矛盾をテーマにした作品に出合うことは決して難しいことではない。
キム・グロの作品も矛盾から出発する。彼女は幸福の二つの顔を一つの画面に収める。闇があるからこそ光がいっそう明るく輝くように、幸福のイメージを強調しようという考えだ。


そのため、作家の画面には対立関係にあったり、相反するものが登場する。人工物と自然、屋外と室内、過去と現在、あるいは未来。これらが一つの状況の中で調和するように結びつける役割を果たすのが装飾性である。
彼女の絵の中でまず目に飛び込んでくるのは、華やかな色彩と独特な形状のキャラクターだ。こうした装飾性のおかげで、彼女の絵は一般大衆にも読み解きやすい。絵が人々の視界に素早く捉えられるということは、それだけ説得力があるということだ。これがキム・グロの絵画の強みである。
キム・グロの絵画のテーマは幸福の姿だ。自身が生きてきた中で幸福だった記憶のイメージを、普通の人々の共感へと引き出そうとする努力の結晶が彼女の作品である。しかし、幸福はその瞬間に認識するのが難しい。幸福の記憶よりもはるかに多くの不幸の経験が、人生の大部分を占めているからだ。

幸福は手に触れられるごく些細なことから始まるという気づきから、彼女の作業は始まる。そのため、作家の作品に登場するキャラクターの名前は「オソネ」だ。「オ!(Oh!)手に(オソネ)」つかめる小さな幸福の中に、幸せのイメージを見つけようとする作家の意志の表現といえる。
小さな目、長いボブヘア、ぽっちゃりとした体型を持つオソネは子供のように見える。可愛らしい人形のような印象も受ける。作家はオソネについて「自分自身の姿と家族のイメージを組み合わせて作った」「年齢や性別のないキャラクター」と語る。
彼女の作品は、オソネが旅をするように場所を変えながら演出する状況を描いている。オソネの明るい姿とは対照的な背景が矛盾して見える。暗い森や夜空のようなものだが、それらのおかげでオソネの明るいイメージがいっそう際立っている。