AIメガネが試験の不正行為や無断撮影など、悪用・乱用の手段となり、日常生活におけるプライバシー侵害への懸念が高まっている。メーカーは発光ダイオード(LED)のインジケーターなどの安全装置を導入しているが、それを回避する方法も現れている。機器の普及が加速する中、法・制度の整備とメーカー側の技術的な防御体系の構築が急務であるという指摘が出ている。

試験の不正行為を超えて盗撮へ…安全装置も回避
最近、韓国国内でAIメガネを利用した試験の不正行為が相次いで摘発された。7月に行われた金融投資分析士の資格試験では、カメラとAI回答生成機能が搭載されたスマートグラスを所持していた受験者1名に対し、金融投資協会が主催するすべての資格試験への5年間の受験制限措置が下された。それに先立ち5月には、電気産業技師・消防設備技師試験で3名、TOEIC定期試験で2名が摘発されている。
試験場の外でも被害が確認されている。7月には、撮影用インジケーターを隠したまま、デート相手の女性を盗撮してオンラインに流布した男性が警察の取り調べを受けた。企業の内部文書や設計図を撮影して情報を抜き出す可能性も懸念されている。英国映画館協会(UKCA)は8月、プライバシー侵害と映画の違法複製への懸念から、英国内の多くの映画館がカメラ付きスマートグラスの着用を禁止または制限していると明らかにした。

メーカーは独自の防御装置を備えている。レイバン・メタは撮影時にメガネフレーム前面の白色LEDが点滅し、第2世代製品からはLEDが隠れたり損傷したりしたことが検知されるとカメラが作動しないようになっている。サムスン電子も、撮影時に内外のLEDが点灯し、インジケーターを塞いだり破損させたりするとカメラが停止するように設計したと説明している。
しかし、これは完璧な防御策ではない。Amazonなどの海外ショッピングプラットフォームでは、LEDを覆うステッカーや、レンズにはめるバックル型のカバーが販売されている。ステッカー型は20枚入りで1万7000ウォン台、バックル型は2個セットで8000ウォン程度だ。一部の製品は、国内のオープンマーケットでも海外直送品として購入できる。
バックル型はカメラとLED部分を覆い、撮影の表示を隠す方式だ。LED遮断ステッカーにはインジケーター部分に微細な穴が開いており、機器のセンサーには光が伝わるものの、外部からは撮影の表示がほとんど見えない。どちらの製品も、インジケーターが完全に隠れた場合のみを検知する安全装置の死角を突いているわけだ。

国内は保護原則の策定段階…メーカーと法制度の責任が重くなる
国内ではまだ、AIメガネの特性に合わせた具体的な基準を策定する段階にある。個人情報保護法の移動型映像情報処理機器の規定は、業務目的の運用者に限定されており、一般消費者が周囲の人を撮影する場合まで規律できるかは不透明だ。インジケーターを隠したり除去したりする行為も、関連する法規がなく、現時点では違法ではない。
教育現場の対応にも限界がある。一部の大学が持ち込み禁止やメガネのつるの確認といった指針を設けたが、最新製品は一般のメガネと区別がつきにくい。下半期の修能(大学修学能力試験)や随時募集の論述試験を控えても、多くの大学が別途の対応策を準備できていない。教育部は、大学修学能力試験の持ち込み禁止物品にAIスマートグラスを明示する案を検討中である。
個人情報保護委員会は7月末、サムスン電子と面談し、年内に発売予定のAIグラスの個人情報保護策を議論した。カメラやマイクが作動する際、周囲の人がそれを認識できるように撮影通知装置を適用する案などが議論された。今年の下半期には、産業界と共にAIグラスなどに適用する個人情報保護の原則を策定する方針だ。ただし、この原則は強制規定というよりは、業界に基準を提示するガイドラインの性格になる見通しだ。
海外では、特定の空間や状況をターゲットにした対応が先行している。米ニューヨーク州統合裁判所システムは法廷施設内への持ち込みを禁止し、イリノイ州はAIスマートグラスを電子通信機器として明示し、運転中の使用を禁止する法を7月31日から施行した。中国では6月、工業情報化部の指導により「AIメガネ自律規約」が発表され、10社がデータセキュリティと個人情報保護を強化することになった。
国内では、人事革新処が7月の5級公開競争採用第2次試験において、メガネ着用者全員を対象にスマートグラスかどうかの確認を初めて行った。
AIメガネの普及そのものを防ぐよりも、製品が日常生活に入り込む過程で発生するリスクを管理する基準を設けることが課題として浮上したという評価だ。

ここにはメーカーの先制的な責任が強調される。ドイツのハンブルク個人情報保護・情報自由委員会は、技術試験の結果、白色LEDが狭い視野角や至近距離、適切な照明環境でしか十分に視認できないと指摘したことがある。
仁荷(イナ)大学消費者学科のイ・ウンヒ教授は「どのような形で流通しようとも、一次的な責任はメーカーにある」とし、「たとえ何かを挟んだり貼り付けたりしても効果がなかったり、回避の試みが露見せざるを得ないように技術を実装しなければならない」と述べた。さらに、「相手の同意がない無断撮影を厳重に処罰するための法的根拠の策定も急務だ」と強調した。
メタは、LED回避製品などの使用をポリシー違反とみなし、関連する投稿を削除する一方、インジケーターが物理的に変造されている状況が検知されるとカメラを無効にするアップデートを準備中だと明らかにした。
事後対応技術も登場した。マエストロフォレンジックは、スマートフォンと連動したスマートグラスのモデル・シリアル番号・接続時刻と撮影時刻・位置情報・AIの質疑応答などを分析するフォレンジックソリューションを発表した。不法撮影や産業機密漏洩事件の証拠を確保しなければならない警察・検察などの捜査機関を主要な供給対象としている。
マエストロフォレンジックのキム・ジョングァン代表は「ユーザーが撮影している時、相手や周囲の人々が肉眼で気づけるようにしなければならないが、インジケーター装置が見えにくかったり、ステッカーなどで簡単に塞がれてしまう死角も見つかっており、継続的な技術補完が必要だ」と述べた。

