[비즈한국] AMD CEOリサ・スーが投げかけた問いかけは強烈だった。人工知能(AI)は、もはや単なる技術的な流行を超え、人類の生活をリアルタイムでサポートする「エージェント」へと進化しており、そのために現在より1万倍強力なコンピューティングパワー、すなわちヨタフロップス級のインフラが必要だと宣言したのだ。テラからペタを超え、ゼタを過ぎてヨタへと向かうこの計算能力の飛躍こそが、AIインフラのパラダイムが塗り替えられる瞬間であるということだ。

現地時間1月5日午後6時30分、『CES 2026』の幕開けを告げる最初の基調講演が米ラスベガスのベネチアン・エキスポで行われた。リサ・スーCEOがCESのメインステージで基調講演を行うのは、今回ですでに4回目となる。2019年の初登壇以来、毎回革新的な技術ロードマップを提示してきたスーCEOは、2023年以来、約3年ぶりにステージに立った。
AMDを高性能コンピューティングの強者に押し上げた彼女の基調講演は、常に業界から大きな注目を浴びている。この日もイベント開始30分前から全米民生技術協会(CTA)のプレミアム顧客指定席がすでに満席になるほど、スーCEOが放つメッセージに業界の視線が集中していた。

「本番はまだ始まってもいない」
スーCEOは「まだ本番はお見せしてもいない」と切り出した。彼女が提示したビジョンは数字に凝縮されている。2022年に1ゼタフロップス(Zettaflop)レベルだった全世界のコンピューティング需要が、2030年頃にはその1万倍である10ヨタフロップス(Yottaflops)以上に急増するという見通しだ。
リサ・スーCEOは「AIユーザーが50億人に達し、質問と回答のレベルを超えて自ら判断し行動する『エージェント』の時代が来れば、既存のインフラでは全く足りない」と診断した。結局、この巨大なビジョンを実現する鍵は『チップ』から始まり『システム』で完成されるというのがAMDの見解だ。
この日の講演のハイライトは、実機が公開された次世代AIラックスケールプラットフォーム『ヘリオス(Helios)』だった。なんと7000ポンド(約3.1トン)と中型車2台分の重量に匹敵するこの装置は、72個のGPU(画像処理装置)がひとつのチップのように動作する超高性能システムだ。心臓部には2ナノおよび3ナノのプロセス技術とHBM4メモリが集約されたAIアクセラレータ『インスティンクト MI455』、次世代サーバー用CPU『ベニス』が搭載された。ベニスは256個の高性能Zen 6コアを搭載し、AI演算のボトルネックを解消する。

この日、最初の賛助演者として登場したOpenAIのグレッグ・ブロックマン社長は、リサ・スーと会うたびに「コンピューティングパワーがもっと必要だ」と語る人物だ。スーCEOとブロックマン社長は、数百億ドル規模のチップ供給契約を結んでいる協力関係にある。ブロックマン会長は「朝起きたらChatGPTが仕事も家事もすべて終わらせてくれている世の中を作りたいが、現在のコンピューティング資源では不可能だ」と語り、MI455とヘリオスが提示するロードマップを支持した。
ハードウェアが筋肉なら、ソフトウェアとモデルは知能だ。Luma AIのCEOアミット・ジェインは、世界初の推論ビデオモデル『レイ(Ray)3』を通じて、4K HDR級の映像を即座に生成・編集する過程をデモンストレーションした。単なるピクセルの羅列ではなく、物理法則を理解して映像を作り出す様子に注目が集まった。
『AIの母』と呼ばれるWorld LabsのCEOフェイフェイ・リーの登場は、この日の講演で最も大きな喝采を浴びた場面のひとつだ。リーCEOはわずか数枚の平面写真だけで、AMDのシリコンバレーオフィスを完璧な3D空間に変換する『マーブル(Marble)』モデルを披露した。これはスタンフォード大学の教授でもあるリーCEOが、昨年World Labsというスタートアップを設立した後に発表した最初の製品だ。空間知能を備えたAIが建築、ロボット工学、ゲーム開発の勢力図をどう変えるかを示し、視覚情報のパラダイムシフトを予感させた。

人類のための技術を強調…「AI教育に1.5億ドルを投資」
リサ・スーCEOは、データセンターの強力なパワーをユーザー個人のPCに移行させる戦略にも力を入れた。新たに発表された『Ryzen AI Halo』は手のひらサイズの小型フォームファクタながら、2000億個のパラメータを備えた巨大モデルをクラウド接続なしでローカルで駆動する。セキュリティと速度が命の企業向けAI市場でゲームチェンジャーになるというAMDの期待感も露わになった。
ヘルスケア分野でも、AMDの技術はがん診断の加速化や新薬開発パイプラインの最適化に寄与している。アストラゼネカなどのパートナー企業は、AIを通じて候補物質の伝達速度を50%短縮し、疾病治療から予防および精密医療への転換をリードしている。

講演の終盤、リサ・スーCEOは次世代人材育成に対する哲学を語った。全米の教室にAI教育を導入するために1億5000万ドルを投資し、15万人の学生に無料のオンラインAIコースを提供すると約束したのだ。
2時間にわたるスーCEOとパートナー企業のリーダーたちによる講演を通じて、AMDは単にチップを売る会社ではなく、『ヨタ時代』を支えるインフラ企業へと転換していることを示した。リサ・スーCEOは「私たちは共に、AIをあらゆる場所に、そしてすべての人々に提供するために努力している」と語り、残りのCES 2026の旅路を激励した。